上州風10号
<特集>GUNMA ものづくり考

子持村白井の鋳物師「IMOZI」 
桐生織物職人紀行
世界を席巻謎の球体「スプートニク」膨張圧力洗濯機
 アンケートから〜群馬のものづくり・風土が生んだものたち、ものが語るぐんまの風土
 鉄のものづくり、糸が紡ぐものづくり、車、
 キーワードは「技術」 中川威雄 群馬県産業技術センター長インタビュー
 布施英利の異彩対談・ものづくりは不滅 
   群馬県工業試験場長植松豊・中里スプリング製作所所長中里良一
子持村白井の鋳物師「IMOZI」
囲炉裏に鍋や鉄瓶をつるし、竈(かまど)には釜をかけ飯を炊いた。風呂釜で熱した温水は疲れた体をいやした。朝や夕べには寺の梵鐘が時を告げた。
かって暮らしの中に、生きていた鋳物。
その多くが戦後のエネルギー変革、機械化、電子化の流れの中で姿を消した。
長尾氏が居城とした白井城の近く、伝統の鋳物技術を身につけた人たちがいた。
上州白井の鋳物師(いもじ)。
木炭と鋳物くずを炉に入れ鉄を溶かし、それを鋳型に流し込み製品を作る。
現在でいうリサイクルの原点。それは肉体を酷使する労働でもあった。
生活用具から農具、梵鐘まで多くの鋳物製品を生み出しながら今は歴史に名をとどめるのみ。
その技術を後世に資料として残そうと今、上州白井鋳物師「炭焼き」の復元が始まった。

桐生織物職人紀行

「西の西陣、東の桐生」とうたわれし桐生織物。
世界に花開いた産業を支えた柱が、多くの職人であったことをご存じだろうか。
織物の柄をデザインする図案職人、ジャガード織機用の図案「意匠」を描く意匠職人、ジャガード織機に横糸の操作を伝える「紋紙」を作り出す紋紙職人。
独特の技術は人から人へ伝えられた。
職人の心意気が今も息づく桐生へ、ふらりと足を向けてみた。

世界を席巻 謎の球体「スプートニク」
 幼い頃、夢想した二十一世紀。それは流線形の空飛ぶ乗り物が音もなく飛び交う未来都市、あるいはすべてがオートメーション化された暮らし。街はとにかく清潔で、すべての高層建築物はのっぺりとしたデザインを持っていた。
 高度経済成長期前夜、昭和三十年代半ばに生れた少年少女は皆、二十一世紀はとにかく輝かしい世界になるものだと信じていた。モノクロのブラウン管越しに夢中で覗いていた『鉄腕アトム』や『スーパージェッター』に描かれていた、科学技術がすべてを幸福にしてくれる世界が必ずやってくるのだと信じていた。
 しかし現在、あたりを見回しても空飛ぶ乗り物は一台もなく、アトムのようなロボットもまだ存在しない。巷には郊外店の派手な看板が乱立し、排ガスをまき散らすクルマが走り回っている。現実の二十一世紀は二十世紀から地続きの相変わらずゴミゴミした世界だった。そして気が付けば、幼い頃夢想した未来のイメージはどこかノスタルジーを帯びていた。人工衛星に似た『かもめホーム洗濯器』をはじめて見たときに感じた不思議な新しさは、まさに「懐かしい未来」そのものだった。