生きているあすなろ

 あすなろが閉店して十八年たった二〇〇〇年冬、
高崎市鞘町の店の跡で弦楽四重奏の調べが流れた。
若者向けの輸入衣料品などを販売する現在の店舗
とあすなろがあった当時の空気とが交じり合うことにより、
もう一つ別の空間が創られた。


 <かつての「あすなろ」で演奏をする4人>


 あすなろ跡を訪れたのは、
群馬交響楽団OBで群馬室内合奏団のメンバーである関口利雄さん(ビオラ)、
碓田寛治さん(チェロ)、小田原由美さん(第一バイオリン)、堀口洸一さんの四人。
いずれも、あすなろの名曲鑑賞室で何度も演奏した経験をもつ。

 あすなろの建物は、閉店後一部改修され、衣料品店として使われてきた。
九五年から営業している現在の店でも、建物そのものの構造を変えていないという。
あすなろ時代にあった一階奥の一段床が低くなっている音楽鑑賞室のスペースも、当時の面影を残している。

 四人はこの場所で、かつてと同じように演奏した。
群響草創期からのメンバーで、本町、鞘町の両方の店で演奏した関口さんは懐かしそうに語った。

 「建物そのものは当時のままのところが多いが、店の雰囲気はすっかり変わった。
それでも、演奏しているうちに、当時の気持ちになれました」




<あすなろ跡外観にて>