上州風7号表紙 上州風
<特集>「時代を生きた女性たち
  ■対談「女は自分で社会をつくる」 石内都・小池寿子
  ■”和製ダ・ヴィンチの妻”Riu/島隆(しま りゅう)   
  ■風のように駆け抜けた Michi/みち 
  ■二人の芸術家の妻として Suzu/寿々
  ■布施英利の異彩対談・フライ作家島崎憲司郎さん

3人の魅力的な女性に会える。
特集時代を生きた女性たち

上州の言葉の響きに「カカア天下」が似合うようになったのはいつからだろうか。自然、風土、蚕業を背景に、さまざまな分析もされてきた。
しかし、その実態はなかなか見えない。激しい時の流れに立ち向かいながら、したたかに、しなやかに、さわやかに駆け抜けた女性たちを追った。

和製ダビンチの妻・島隆の生涯
 幕末の江戸。黒船の来航に揺れる市中。開国か鎖国か、喧々ごうごうの議論が交わされる中、
自らの好奇心を満たそうと積極的に海の向こうに目を向ける男女がいた。
男は和製ダビンチとも言える奇才・島霞谷。
女は自らの可能性を求め、十八歳で郷里を飛び出した岡田隆(後の島隆)。
二人は互いに引き寄せられるように出会い、そして一つの歴史を築いた。
珠玉のハードラー中西みち
 一九九二(平成四)年一月一日付の上毛新聞の紙面に、一人の婦人の訃報が掲載された。「栗原みちさん(くりはら・みち=故栗原俊夫・元衆・参議院議員の妻)30日午後2時42分、病気のため高崎市の病院で死亡。78歳。・・・・栗原さんは、京都出身。ロス五輪(1932)、プラーグ女子五輪(1930)の日本代表選手、80H、400メートルリレーで活躍した。・・・・」
 栗原みちの名を、政治家の妻として記憶している県民は多くても、旧姓中西みちの名と、その疾風のような前半生を知る人は、群馬県内には少ないのではあるまいか。
 日本女子スポーツ界の黎明期に、京都から世界へ飛び出した女性が、競技生活の絶頂で突然と引退。そして、京都の華やかな世界から群馬へと移り住んだ。そこには、京女の心の葛藤、上州女へと変貌していく姿があったはず。 
二人の芸術家の妻として・田中寿々
 新世紀の春、白寿の年に一人の女性が逝った。
 鋳金家・森村酉三、画家の田中佐一郎という個性的な芸術家二人の妻。
伊勢崎出身の田中寿々(SUZU)がその人。明治、大正、昭和、平成の世の流れ、人の流れを見続けた一生。
時に妻として、時に鋳金家として、また画家のよきマネージャーとして、困難に遭遇するも、
さわやかに明るく生きた。九十歳代に入って発刊した自伝のタイトルは『さゝ船』。
大海に浮かぶ笹舟を意識したものだという。