上州風8号
<特集>−monolithos- single block of stone

「時代に生きよ 時代を超えよ」 藤牧義夫版画碑
呼び覚ませ・語れ 日本唯一「おろかもの之碑」
「小栗さま」のいる村 偉人を慕う村人の碑

ぐんまmonolithos watch
  知新 石になった個性を撮す
「時代に生きよ 時代を超えよ」


 豊かな渡良瀬川の流れ、そして城沼、多々良沼、中野沼が点在する水郷であり、城下町である館林市。館林城本丸跡近く、城沼に隣接するつつじケ岡第二公園内に、二十四歳で忽然と姿を消した新進の版画家を偲ぶ碑が建つ。石碑には、ブロンズで型取った版画のレリーフが配され、「時代に生きよ 時代を越えよ」の文字が刻まれている。作品は『城沼の冬』。作者は館林出身の版画家、藤牧義夫。
 最後の館林藩主であった秋元氏の別邸跡、ツツジで有名な公園内に建つ版画碑は、彼の思いを込めた彫刻刀の刃先を印象づける。明治、大正、昭和初期という激しい時の流れの中で、短くも鮮烈に生きた芸術家・藤牧義夫の痕跡を、郷土の片隅に止めておこうと、ひたすら黙しながら、立ちつづけているようにも見える。

過去を呼び覚ませ・語れ
『日本唯一 おろかもの之碑』

かつて戦争というものがあった
21世紀を生きる我々の多くがそれを知らない
戦争体験者の多くは、その過去を封印してしまった

自らを『愚か者』と称し、碑に刻んだ人がいる
昭和36年、太平洋戦争の開戦から20年目の12月8日
その碑は建った
神武景気に始まる高度経済成長
だれもが『もはや戦後ではない』と信じ込もうとした矢先
パンドラの箱のようにそれは現れた

『記憶を呼び覚ます装置』
そんな言葉が脳裏をよぎる
碑は今もその力を失わずに、ここに在る

「小栗さま」のいる村

1868(慶応4)年、倉渕村烏川畔で、
徳川幕府最後の勘定奉行小栗上野介忠順(おぐりこうずけのすけただまさ)
は、東山道総督府(官軍)の手に掛かって斬首された。
時に数え四二歳。
昭和初期、処刑跡地に当時の倉田・烏渕両村民によって、
顕彰碑が建てられた。碑面には、
「偉人小栗上野介罪なくして此所に斬らる」の文字が浮かぶ。
村人は、「小栗さま」が幕府瓦解までの9年間、
幕府改革に全力を尽くし、
大きな功績を残したことを忘れてはいなかった。
開国、幕府の崩壊、新政府誕生という激動の時代に、
日本の将来を見つめ近代日本のレールを敷いた小栗は
「幕末開明の偉人」として、様々に語られてきた。